■山口素弘GM
皆さんこんにちは。今日はお忙しいところお集まりいただきありがとうございます。加藤玄選手は現在、筑波大学の学生(3年生)ですが、2025シーズンからの加入決定の会見とさせていただきます。
加藤選手はもともと名古屋グランパスアカデミーの選手で、筑波大学に進学し、それまで以上の彼の努力、そして筑波大学さんの指導の下で成長しまして、我々としてはグランパスの戦力に十分なり得るという決断をいたしまして、来シーズンからプレーしていただきたく、加藤選手と筑波大学さんと話を進めるなかで、来シーズンの加入が内定したことをご報告させていただきます。個人的にもそうですし、クラブの代表としても、非常にうれしい会見だと思っています。よろしくお願いいたします。
■加藤玄選手
皆さんこんにちは。このたびはお忙しいなか、お集まりいただきありがとうございます。来シーズンより名古屋グランパスに加入させていただきます、筑波大学蹴球部の加藤玄と申します。よろしくお願いいたします。
本当に憧れだった豊田スタジアムでプレーできることに、今はすごく高揚と感動を覚えていますけど、まだスタートラインに立っただけだというふうにも感じています。開幕戦でチームを勝利に導くつもりで、そしていつかはグランパスを背負っていけるような選手、人間になっていけるように、これからも努力していこうと思っています。よろしくお願いします。
■山口素弘GMへの質疑応答
ー現在大学3年生ということで、来シーズンは特別指定選手にするという選択肢もあったかと思いますが、なぜこのタイミングでの加入になったのでしょうか?
山口 加藤玄選手の強い意気込み、意識もそうですし、筑波大学さまのご理解があった上での最終的な決断となりました。もちろん我々クラブとしても、あと1年を待たずして、彼の能力、努力の結果みたいなものを総合的に判断して、十分戦力になり得るという判断をしました。ただ、大学在学中ということなので、繰り返しになりますけど、彼の意識、そして間違いなく筑波大学さまのご理解があった上での最終的な決断となります。本人にとっても非常に難しい判断だったと思いますが、本当によく決断してくれたと思います。卒業を待たずして、十分やれる力をつけたという判断もできるかなと思っています。
ー大学の卒業に向けてはどのように進めていくのでしょうか?
山口 おそらくこの後の本人の話でも出ると思いますが、当然しっかりと卒業するというところは間違いなくあります。細かい話は本人から話していただくのがいいかと思います。
ー加藤選手は高校3年生の夏、クラブユース選手権でMVPに輝く活躍を見せ、チームを優勝に導きました。高卒での昇格もあるかと思っていましたが、どういったところを期待して大学へ送り出したのでしょうか? また、具体的にどういった部分を見て戻せると感じたのでしょうか?
山口 もちろん高校3年生のときにも非常に素晴らしいプレーをしていました。彼の一つの才能かと思いますけど、やはりリーダーシップというところは高校時代から見せてくれていた部分ではありますけれども、総合的な判断ですね。細かく言えば守備の強度とか。あとは、ユースからトップに昇格するのが全てではないと私はずっと思っています。そういったなかで加藤選手は勉学の面でも強みというか、素晴らしいものを持っていたので、そういった中で進学と。またその進学先についても、本人と話しましたし、古賀(聡)元監督とも話をして、加藤選手が筑波大学への進学を決めたということで非常に素晴らしい選択だなと思いました。筑波大学のプレースタイルを考えると、非常に加藤選手に合うなと。おそらく1年のときから試合に出場するのも可能ではないかみたいなこともあったので、そこからでも十分遅くはないという判断もありました。大学に行って、1年生のときから試合に絡みながら、当然その時点でも我々はずっと追っていましたけれども、高校3年のときに懸念していた守備の強度とか、あとは運動量とか、いろいろな部分が大学に進学して成長したなと。プラス、もともと持っていたリーダーシップを1年のときから発揮していたと思います。もちろんすぐにトップ昇格できなかった悔しさというのを持ち合わせていたとは思いますけれども、それプラスアルファで良かったかなと思っています。
ー特別指定をして戦力に加えるという方法もあるなかで、大学のサッカー部を退部して加入してもらうということはそれだけ評価したことになると思います。それだけ高く評価した要因について教えてください。
山口 なんでもそうだと思いますが、もちろんプロを目指すという加藤選手の意識もあったと思いますが、プロを目指す上で自分が今やっている環境が今の自分に適しているかどうかというところだと思います。それを考えると、我々の見方では、加藤選手は大学のところではいろいろなプレーの質とかそういうのが十分に足りすぎている。やはり彼がもっともっと伸びるためには、いわゆるよりレベルの高いところ、環境でプレーすることかなと。アカデミーでも、例えば中学生年代で、中学2年生で能力がある選手がお山の大将のようにプレーしていても伸びないので、カテゴリーを1つ上げると。自分よりも強度が高いところでプレーするほうが伸びるのは当然なので、そのような考え方かなと思います。加藤選手は大学のほうではトップレベルのプレーができているので、よりプレーの質を高めるには、よりレベルの高いところでと。それは我々もそうですし、おそらく加藤選手本人もそう思ったからこその、この時点での決断だったのかなと思います。十分やれるというところです。我々に関して言えば、ボランチのところは戦力を上げたいところで、おそらく加藤選手は今グランパスにいるボランチの選手とはちょっと違うタイプだと我々は思っているので、そういうのも含めて、即戦力と考えてこの判断に至りました。
ー言い方が正しいのか分からないですが、「超大学級」の素材だと判断したと。
山口 まあ「超大学級」というのは……面白い言葉かもしれないですけど、なんでもそうだと思いますよ。最近は海外に行く選手もいると思いますけど、海外で経験したいとか、もっともっと厳しい世界に身を置きたいというふうに若い選手は思うので。こちらはその若い選手の成長をどうやって促すか、もしくはサポートするかというのが大事だと思います。
■加藤玄選手への質疑応答
ーずっと「プロになりたい」という思いを持っていて、プロになるためというところにすごく貪欲だったと記憶しています。プロになることが決まった今の心境を教えてください。
加藤 まだ実感は全く湧いていません。大学の活動があって、今週末から始まるインカレ(MCCスポーツpresents 2024年度 第73回 全日本大学サッカー選手権大会 )、最後の大会が残っていますので、今はとにかくそこで筑波を優勝に導きたいという思いが強いので、正直まだ来シーズンに向けての思いはあまりありません。ただ、やはり育ててもらったクラブに帰れるというのはすごく誇らしいことです。山口GMもおっしゃっていましたけど、大学に入ってからも試合を観に来てくださったり、声を掛け続けてくださっていたので、必要としてくださったことはすごくありがたいですし、その期待に応えたいと思っています。
ープロになるという部分での選択肢はおそらくたくさんあったと思いますが、そのなかでグランパスという選択肢を取ることができたことについてはどう感じていますか?
加藤 あえて誤解をおそれずに言うのであれば、アカデミーの選手だから戻ってきたというつもりはほとんどないです。ただ、高校時代にお世話になった恩師の古賀聡さんが「クラブを変えたい」という思いでグランパスで活動されていて、その思いを自分が引き継いで、「クラブを変えていく象徴になりたい」という思いはもちろんあります。でもそれ以上に、ありがたいことにいろいろなオファーをいただいたなかで、自分を必要としてくださっているという思いを感じましたし、フラットに見てこのクラブでJリーグで優勝したいし、タイトルを獲る上で自分が中心的な選手になって、そのクラブの象徴になっていけるという自分の未来を描けたことが大きかったかなと思います。
ーアカデミー出身だから戻ってきたわけではないという一方で、名古屋を変えたいとか、名古屋で活躍したいという、クラブに対する愛着みたいなのはいかがでしょうか?
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