開幕から3連敗を喫し、6試合負けなし、再び7試合勝利から遠ざかるというジェットコースターのような時期を過ごした前半戦。アンカー、そしてボランチの一角としてチームの舵を取り、荒波を乗り越えるために試行錯誤を繰り返してきた稲垣祥が、浮き沈みの激しい今シーズンのここまでの戦いを振り返り、意気込みを語った。
インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集
今回は前半戦を振り返っていただきます。今シーズンはプレシーズンキャンプからアンカーを採用したシステムに取り組んでいました。稲垣選手はどう捉えながらやっていましたか?
稲垣 簡単ではないと思っていましたし、だからこそ練度を上げていけるように、キャンプで何回も試しながらほぼほぼアンカーを置いたシステムで練習していました。練度はそう簡単には上がっていかないし、時間が掛かるとも思っていましたが、その分いい面もあるので、チャレンジだと捉えながら取り組んでいました。
開幕戦の鹿島アントラーズ戦ではアンカーとして出場しました。ボランチとは求められる役割が変わってくると思います。
稲垣 僕的には今やっているダブルボランチとアンカーは全く別のポジションだと思っています。求められる役割、やらなければいけない仕事が変わってくるので、そういう意味では本当に簡単ではありませんでした。僕はキャンプでずっとインサイドハーフをやっていましたが、開幕戦ではけが人や相手の対策というところでいきなりアンカーになったので、そういう面でも難しさを感じていました。
けが人の影響で急遽メンバーが変わり、いい面もありながら、失点したことで難しい展開になりました。
稲垣 あの時点であの結果は妥当だったかなと思っています。もちろんもっといい内容、いい結果を残せれば良かったですけど、あの時は直前にけが人が続いて、ほぼほぼ試すことができず、即席のメンバーで臨まざるを得ないという状況でした。今年はシーズンオフから選手の入れ替わりが多かったので、そういうのも加味して練度がまだまだ足りていなかったですし、公式戦の勝負が懸かったなかでやっていくだけのチームとしての積み上げが足りていなかったと思います。
続く第2節のFC町田ゼルビア戦ではベンチスタートとなりました。どう受け止めましたか?
稲垣 めちゃくちゃ悔しかったですし、一選手なのでもちろん苛立ちのような気持ちもありました。ただ、あれが僕の現状でもあったし、そこはしっかりと客観視できていたかなと思います。「なんで俺が出られないんだ」とか「なんで俺を使わないんだ」と思うだけではなくて、現状としてこの立ち位置で、自分の力はこれぐらいなんだというのをしっかりと認めながら、向き合いながらやっていました。
アンカーとして足りない部分、やらなければいけないことを考えていたのでしょうか?
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